江戸後期、明治・大正期の文献・資料から興味あるものを電子化する試み
× [PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。 『况翁閑話』(13)-処世の要は自分の力量を知るにあり 世に処するには、自分の才能を明らむるが第一の要点ぞ、自分の才能を明らめたら、其一等下りたる事業を執りて安んじて勉むれば、安泰にして結果を全うすることを得べし、世の終を全うせざる人、又は事を執りてやり損(ソコナ)い世の笑を招き、甚だしきは百年の後ち識者に筆責せらるゝ者は、皆此自分を知るに暗くして自分の力量にあまる仕事を企てたり執たりするからだ、併し自分の才能を知るということが、頗る難い事である、吾輩の如き凡物ですら、時たまには、時事を傍観して、若も吾が国務大臣たりしなら、此(コ)うはしまいに、彼(アア)しように、などなど、十方十轍もない夢の如き事をば考え出す事が度々ある、況んや政事家と自称し、大臣の夢を夜々(ヨナヨナ)借家一と間に夢みる輩や、自分の力量が計られないのも尤もだ、併し自分で計られなければ、他人に計りてもろうが第一だ、他人に計りてもろうには、別に頼むにも及ばぬ、他人が推すままにまかせ、大臣にするというたらなるがよし、又等外にするというたらなるがよし、身を進むことに付ては自ら運動したり、又自ら請願したりして、位置を求むるというが、最第一の大過ちだ、他人まかせにすれば決して一段高くは購(アガナワ)ぬものだ、拙者などは、他の事は大間抜だが、此点に至りては、聊(イササ)か悟る所があり、いつでも他人の進めらるる時でも一度も二度も辞退に辞退をして、夫から御受をしたから、円満辞職も出来たのだ、北條時政や泰時が、鎌倉幕府の執権に甘んじて世を終えしも、蓋(ケダ)し自分の力量より一等下段の事に甘従したるものならざらんや。 評曰、先生蓋し老子を解する事深かるべし、此談話に於て之を推知す、末項、北條氏を論ずる如き、僅に二三行の文字、史家数千言の論説を尽す。 PR |
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梶谷恭巨
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