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江戸後期、明治・大正期の文献・資料から興味あるものを電子化する試み
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 はじめに

 「柏崎通信電子ライブラリー」については、既に述べた。 その始めとして、福地源一郎の『もしや草紙』を採り上げる。 全編50回の連載。 始めとするには適当と考えた次第である。 書誌は次の通り。 尚、旧仮名遣い等は、現在の仮名遣いに変更し、旧漢字・難漢字については、()内に読みを加え、読み易くするため句読点や「」なども加えた。

 書名欄: 増訂『もしや草紙』
 著者欄: 桜痴居士戯著
 出版社: 東京・文海堂
 刊行年: 明治21年
 著者名: 福地源一郎
 形態等: 384ページ、他に図版

○もしや草紙序
 喜ぶべく嗔(いか)るべく笑うべき哭(な)くべきものは社会の顕象なり。 是れ豈に(あに)居士が放言ならんや。 居士春来、宿痾(しゅくあ、持病のこと)再び発(お)りて劇務に堪えざるに由り、東京日々新聞の主宰を、挙げて後任に托したるに、後任は居士が全く筆を紙上に絶たん事を惜み、責ては戯著(ざれがき)にても稿してよと請えり。 其さえ拒辞せんも、了得なれば、毎日々々心に浮べる侭を書綴りたる「もしや草紙」、これと云う趣向もなければ結構も無し。 書肆(しょし)石塚氏が勧めに應じて増訂を加えたれど、実は冊子となして世上に示す程の価値なきは、居士みづから是を知る。 抑(よく)も居士が此草紙を稿せるは敢て世を嘲(あざ)り俗を罵(ののし)らんが為には非ざるに、世上読者の眼光は、往々居士が思想の外に透射して、種々の品評を下し来るを以て、居士に取ては迷惑なりと思う事も尠(すく)からず。 原来取り留めも無い寝言には何の深意微旨のあるべきぞ。 然らば則(すなわ)ち此草紙や得意を鳴らせりと云わんも可なり、不平を訴えたりと云わんも可なり、滑稽の間に風刺を寓せりと云わんも、江湖の状を写して、悲憤を洩(もら)せりと云わんも、亦(また)皆可なり。 読者乞う。 随意に読み随意に評せよ。 居士は決して之に関せざるなり。

 明治廿一年一月十一日 桜痴居士識

○もしや草紙緒言
 夢かと思えば夢にあらず。 現かと見ればうつつとも覚えず。 夢ならで早く醒めよ。 現には争いか)で、さる事のあるべきやとは悟れども、悟られぬが即ち浮世。 もしや今のが正夢かと云う様な事が明日(あす)の日にでもあっては大変。 ころばぬ先の鳩の杖、長雨に土蔵の目塗、ただ用心に若(しく)はなし。 あゝ浮世は夢。 夢の中での夢ばなし。 もしやの夢は又その夢。 寝言のまゝの根なしぐさ。 見たか聞いたかも朧(おぼろ)にて筆に任する戯著(ざれがき)ならば、固より是を目指したる的標(あてど)もない夢鉄炮(てっぽう)。 ナンダカ障(さわ)った心地がしても、其が所謂(いわゆ)る偶中(まぐれあた)り。 必らず御気に懸られな。 寝言じゃぞや寝言じゃぞや。

 明治二十一年八月二十一日の夜、桜痴居士寝ぼけながら識す。 原序

 次回は、第一回から。

Best regards
梶谷恭巨

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1947/05/18
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